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映画とアニメのその先へ。

映画・アニメの紹介と感想。作品のその先で、どこかで誰かが何かと繋がるのを期待して。

レッドタートル:言葉は無くても伝わる生命の営み。

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『レッドタートル ある島の物語』
 (2016年/マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット

案の定、話題にならなかったですね。悲しい。
ジブリと言っても制作は日本ではないです。なんでジブリって大きく言ったかなあ云々…。
『聲の形』もあったとはいえ、ヒットはしないだろうと予想はしていました。宣伝て凄い。

筆者としては、とても好ましい映画でした。
母親にも『君の名は。』は映画館で観る価値がもちろんあるけれど、
ロングランになるだろうから今観るなら『レッドタートル』を観て!と推してます。

監督のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットについては筆者も詳しくないので調べました。
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
イギリスを拠点に活動しているオランダ出身の短編アニメーション作家、アニメーター。
今年で63歳。
監督作:『お坊さんとさかな』『岸辺のふたり
その他、ディズニー作品『美女と野獣』では、ストーリーボード・アーティスト、
世界各国のCM制作を多数手掛けていらっしゃいます。
今回の制作に至った経緯ですが、短編であった『岸辺のふたり』を観て
この監督の長編作を観たい!と思ったのが、ジブリのプロデューサーである鈴木敏夫氏であり、
マイケル監督は尊敬する高畑監督の助言を受ける事を条件に長編制作にとりかかったと。
そして高畑監督参加の元、今作が生まれたということです。

さて、内容です。
想像以上に、生命が溢れていました。
人間のおこがましさ。自然との共存。生きていくということ。
三位一体と言うのでしょうか。ファンタジックな設定もありますが、
舞台となる小さな島にまさに
いのちが詰まっていたと思います。
そして、この作品、予告から想像はついてましたが
言葉なし。
声は発しますが、言葉ありません。言葉ありきが全てではありません。



※少しネタバレ入れます。





荒れ狂う波から始まり、時代設定も主人公の男の素性も全くわからない。
とある無人島にたどり着いて過ごす。そこでウミガメが海に戻るところに出会す。
(ここは一応伏線なのかと思いましたが明らかでないからわかりません)
体力も戻り必死に帰ろうとするも、レッドタートルに何度も舟を壊されて挫折してしまう。
ここで、神秘的な事だけが全てではないと、人間の怖いところが浮き彫りに。
自分の舟を壊す亀を見つけて憎らしさのあまり傷つけてしまうのですね。
ひどいな、と思いつつもせっかく帰ろうとしているのに悉く押し戻されたら
憎たらしくもなるよなー(やりすぎだけど)って感じでした。

やりすぎた事を反省して甲斐甲斐しく看病?しているとあら不思議。
亀が女性になったではないですか。
年月はすぎ、男性と女性の間に子どもが生まれます!
元は亀ということはさておき、いのちは続くんだなあってしみじみしてしまいました。

が、しかし。自然の脅威を特に我々日本人は忘れてはいけません。
子どもも大きくなったある日、親子で貝をとっていると、見る見るうちに波が引いていく…
察しますよね。来るって。大津波が。
小さな島に悲劇が訪れます。そのシーンの迫力といったら。
波の作画がリアルだとかそうじゃないんですけど、音とか迫り方とか
登場人物の逃げ方だったり、植物を巻き込んでいく様子にぞわっとしました。

いのち、をテーマに置いているだけあって、綺麗事では終われない。
それは対人間ではなく、対自然と生きていかなければならないということでもあり。


あとは旅立ちだったり、生まれれば最期はやってくることだったり。
2時間一言も言葉を発してないのに伝わってくる凄さ。
無声映画なんて1、2本しか見てないような私でも映像だけで伝えるって凄いなと。
生命力溢れるアニメーション映画だったと思います。



おわり。