映画とアニメと。

映画・アニメの紹介とか感想。映画もアニメもどこかで誰かが作品を通して何かと繋がる力があると思ってます。

永い言い訳:言い訳が終わる時は人生の終わり。

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永い言い訳』(2016年/西川美和 監督)

アニメ・洋画だけじゃなく、邦画も観ます。
今回10月あたりですね。そういえば書いてないなと。観たくて気になってたのですよ。

監督は『ゆれる』『ディア・ドクター』で話題をさらった西川美和さん。
個人的にこの方の作品の好きなところは、
オリジナル脚本であるところと、画面の少しぼやけた感じです。
鮮明な綺麗さではなく少し荒い感じが、人間関係を描く作品をより引き立たせてるように思ってます。

 

タイトルの副題に「言い訳が終わる時は人生の終わり」とつけたのは、
本作を観た筆者が作品から受け取ったタイトルの意味です。
監督自身、原作小説の第一章に出てきた長い言い訳
というフレーズがびびっときて云々あってつけたと後から知りましたが。

本木雅弘さん演じる衣笠幸夫(読み方はあの鉄人と同姓同名です。それがネタです。)は、
自分の殻に閉じこもり、それでいて名声がほしくて、
プライドを捨てきれない人間で、妻にも後ろめたさを持って暮らしていて。
妻が亡くなって初めて気づいた妻への気持ちも、いままで抱えていた感情も全て。
結婚した理由も。不倫をしたことも。子どもの世話をしたことも。仕事さえも。
贖罪のつもりかもしれないけれど、どう言い繕ったところで何を言っても後の祭り。
言い訳にしか聞こえないってことかなと。
ああ、この衣笠という男は全てを悟った
上でなお、
これからもこうやって言い訳の人生を生きていくしかないんだ」
と最後まで観てもこの感想しか出てきませんでした。
落胆とはまた違う、清々しいほどに納得してしまっているんです。

 

言い訳をしながら防衛して生きてきた。

その人生にさえも言い訳をしている。

そして、これからも日々を振り返ったところで言い訳に過ぎない。

永い…長いよりもさらに永く。終わらない永い言い訳

その人生が言い訳なのではないかと思えてくるほどに(それはひどいか)。

 

だからこそっていうんですかね。何を大人にまでなってそんなこと言っているのかと。
心狭すぎるし、視野も狭すぎる。自信がないだけならまだしも変にプライドがあったりして
観ていてイライラした主人公でした(笑)。

それにしても、竹原ピストルさん良い味出してました〜。おもしろかった。
子役の子たちも等身大な子どもって感じがいいなと思いました。

ただ、黒木華さんの役だけは後味悪すぎますね。一生消えないトラウマのようになってしまって…。

ところで、上記の方々も素晴らしかったのですが、個人的には
出演は多くありませんが、池松壮亮さんの役どころがとても印象的でした。特に印象に残ったのが、
「クズ人生送ってきた男が子育てするって免罪符みたいなもの」的な言葉。
実際に池松さんの役に似た人を知ってるのもあって。男だけでもないんですけどね、
フルバの今日子さんも言ってたように女にも当てはまる部分もあるというか。
結婚以上に、子育てになった瞬間に人ってこれまでを改めようと変わるものなのだと。
(変わらない残念なことも多いですが。)

小説も気になったんですけど、さらっと結末先に読んだら
これは読まないでおこう(笑)と思いましたので読みません。

 

観ていて所々で、ぞっとしたりしました。生死の話や家族の話だったり遠からず我が身にもありそうで。
言い訳にならないような人生を送ろう、と何度も思いました。

 

おわり。